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ある生徒さんの死

  私が池袋のサンシャインにある毎日新聞社主催のカルチャーセンター「大人のピアノ教室」を教えることになったのは15年も前のこと、

その時の最初の生徒さんがNさんでした。

私がカルチャーセンターを辞めるとき、「まだ先生に習いたい!」とわざわざ文京区の白山からここ、ひばりが丘の私の自宅まで一時間以上もかけてレッスンに通ってくれてから10年以上になります。

今月の大人の発表会にも出演予定で、一生懸命練習に励んでいました。

いつものレッスン日に姿を見せないので、電車の遅れかな?と思っていたところ、ご主人から突然の逝去を知らされました。

心臓病でした。享年63歳。

あまりに突然の出来事で、電話口で号泣するご主人の声に、私も言葉を失いました。

お通夜のこの日は、生徒さんのコンクール最終日。

私は喪服持参でコンクール会場に行き、最後の演奏も聞かないまま、葬儀場へ直行しました。

今にも生き返ってくるような姿に、ただただ信じられなくて呆然としました。

でも、発表会の連弾の変更やプログラムの順番など決め直しをやらなければならないことも多々あって、悲しんでばかりはいられず、早速雑務に追われました。

高齢者の方で、ご病気などで亡くなられた方は数名おりますが、現役のまだ若い生徒さんの突然死は二人目で、かなりこたえました。

私も演奏する大人の発表会、Nさんの追悼発表会でとして頑張ります。

今までずっと私のところに来て下さってありがとうございます。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 

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